目と胃は1本の経路(けいらく)でつながっている
東洋医学には、エネルギーの流れる通り道の事を『経絡(けいらく)』と呼び、ツボとは経絡の上に存在しています。
そして目と胃は、『胃経』と呼ばれる1本の経絡でつながっており、『肝病めば目見ることあたわず』や『肝は目に開窮(かいきゅう)する』という言葉があるように、この2つは互いに関係しあっています。
目と肝をつなぐ胃経
体を流れる経絡のうち、胃に関連する経絡が『胃経』。
そのルートは、目の下にある『承泣(しょうきゅう)』から、鼻の下、首と肩を通り、へその横にある『天枢(てんすう)』へと流れます。
その後は、ふとともから膝にある『梁丘(りょうきゅう)』、すねにある『足三里(あしさんり)』を通り、最後は足の人差し指にある『厲兌(れいだ)』に到達します。
眼精疲労と胃の回復に効くツボ
ここでは、胃経にあるツボの中から、代表的な2つの経穴を紹介します。
(1)承泣(しょうきゅう)
目の周りにある骨のふち。ちょうど瞳孔の真下にあるツボ。
眼精疲労の回復の他に、近視や乱視、白内障などにも効果があります。
また、目の周りの血流改善にも効果があり、クマや目の腫れを取る事も出来ます。
指圧方法
承泣の位置に中指の腹を乗せ、下(あご側)へ押し下げます。
この時、眼球側に押し込むのは、圧迫の可能性があり危険です。
くれぐれも、眼球に触らないようにしましょう。
(2)天枢(てんすう)
へその両側2か所。約4センチほど離れた位置にあるツボ。
胃腸の働きを活発にする効果があり、胃弱体質の改善も期待できます。
胃痛、胃もたれ、便秘や下痢の時にも天枢はよく用いられる、胃腸系の中心ともいえるツボです。
指圧方法
人差し指と中指薬指の3本を揃え、人差し指をへその横に置くとちょうど薬指が天枢の位置に来ます。
その状態で、息を吐きながら、お腹が軽くへこむ程度の力で押し込みます。
眼精疲労に効く漢方
漢方は、その人の体調を考えてオーダーメイド処方されます。その為、眼精疲労に効果がある漢方も、胃の調子に合わせて処方される物が変わってきます。
その為、自己判断を行うよりは、医師の診断をうけ、自分に合った漢方を処方してもらうのが確実でしょう。
眼精疲労に使われる生薬
漢方の原料となる生薬の中で、眼精疲労に使われる主な材料は以下のものがあります。
- 菊花(きくか)
- 地黄(じおう)
- 田七人参(でんしちにんじん)
- 決明子(けつめいし)
などなど。
目の不調は体の不調
目を酷使すると、目の周りの筋肉が凝り固まり、血行が悪くなります。これが眼精疲労の正体。
しかし逆に考えると、全身の血行が悪くなれば、使っていなくても疲れ目になるという事です。
仕事で日常的にパソコンを使っている人で、胃痛や胃もたれが続いている人。
どれほどマッサージをしても、肩こりが治らない人。
パソコンは使っていないのに、ドライアイ苦しんでいる人。
このような体のトラブルが続く時は、目か胃のどちらかに問題があるのかもしれません。